もうすぐ桃の節句。この時期にだけ並ぶ、京都ならではの和菓子が「引千切(ひちぎり)」です。緑や赤、白の餡の上にきんとんや小豆餡がのった和菓子です。
和菓子屋さんの店舗に立ち寄ると、このような年中行事を先取りしたお菓子や、年に1日だけ登場するお菓子など、季節の移ろいや日常を楽しませてくれる仕掛けが随所に仕込まれています。また、職人さんの手仕事による和菓子は、目で愛でて、食べて楽しめる、しかも甘いけれど低カロリーなお菓子として海外でも注目を集めています。
京都の祇園という地に、300年あまりの歴史をもつ和菓子屋さんがあります。八坂神社の門前町に位置する「鍵善良房」さんは、数多くの寺社、お茶屋さん、そして南座などにもお菓子の配達をされています。長年、お茶屋さんを通して文人墨客、旦那衆など幅広い分野の方々へ和菓子の魅力を伝えられてこられたことでしょう。
15代目の今西善也さんには代々受け継いで来られた美への意識を、わかりやすく私たちに伝えてくれる人のひとりです。コンセプトグラマー社で運営している朝活プロジェクト「京都朝げいこ」では、京のたしなみ講座の講師として、季節の楽しみ方をお話いただきました。繊細な和菓子の世界に受講生もウットリ。つくることへの厳しい視点と楽しさをウィットを効かせて教えていただけたと思います。
2014年より続けられているインスタグラムからは、和菓子そのものの美しさはもちろんのこと、祇園の地で繰り広げられている文化的な活動を知ることが出来ます。今年2021年1月には、美術館「ZENBI」をオープンされ、またひとつ情報発信基地を構えられました。
日々の暮らしに彩りを添える楽しみを、今西先生独特のユーモラスを加えてこれからも多くの方に伝えていかれることでしょう。私はそこからいつも心地よい柔らかな力を感じています。
INFO
今西善也 | 創業江戸中期の上菓子司鍵善良房当主。伝統ある和菓子の良さを人々に伝えながらも、今の暮らしにあった和菓子の在り方を常に考え菓子づくりに励む。 |
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店舗情報 | 鍵善良房 四条本店 営業時間:菓子販売 9:30~18:00 , 喫茶 10:00~18:00(17:30ラストオーダー) |
美術館 |
開館時間: 10:00〜18:00(⼊館は17:30まで)
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